Carbon Pulseが8月10日に報じたところによると、中国のエネルギー主管機関である国家能源局は、国家自主的削減プログラムであるCCERの拡充に動いており、グリーン燃料を対象とした新しい方法論の導入を目指している。この動きが実現すれば、グリーン水素やその誘導体などの燃料生産者は、燃料自体のプレミアムに加えて、排出削減量を取引可能な炭素クレジットとして収益化できるようになる。中国の供給を注視するオフセットのバイヤー、プロジェクトデベロッパー、投資家にとって、世界最大の炭素市場がクレジット化できる対象の裾野を広げようとしているというシグナルだ。
エネルギー規制当局が求めているもの
国家能源局(NEA)は、グリーン燃料の環境価値を引き出す幅広い取り組みの一環として、中国認証排出削減量(CCER)プログラムにさらなるオフセット方法論を導入しようとしている。方法論はあらゆるオフセット制度のルールブックであり、どのプロジェクトが適格か、ベースラインをどう設定するか、削減量をどう算定するかを定める。承認された方法論がなければ、グリーン燃料プラントはどれほど気候便益が大きくても、燃料を売ることはできてもクレジットを発行することはできない。
タイミングは偶然ではない。NEAはこのほど国家グリーン燃料発展報告を公表したばかりで、第15次五カ年計画でもグリーン燃料と水素が新たな成長分野に位置付けられている。CCER方法論は、この産業政策を収益ラインに変換する。直近1トンあたり80元から107元で取引されている市場において、検証された削減量1トンがすべて販売可能な資産になる。
すでに動き出している方法論パイプライン
グリーン燃料への推進力は、ここ2年間加速し続けてきた制度の上に降りてくる。国家気候変動戦略研究国際協力センターの主席エコノミスト、張昕氏が7月31日付の『人民論壇』で述べたところによれば、生態環境部(MEE)は610件超の方法論提案を募集し、約590件の評価・選定を完了し、これまでに18件を公表している。2026年中にはさらに10件超の方法論が公表される見通しで、グリーン・低炭素エネルギー、エネルギー貯蔵、グリーン燃料をカバーするという。
燃料分野のクレジット化の前例はすでに存在する。2025年12月26日、MEEとNEAは共同で初の水素方法論CCER-01-004-V01を公布し、再生可能エネルギーによる水の電気分解プロジェクトを対象とした。それ以前のバッチでも、最初の4つの方法論(造林炭素吸収、系統連系集光型太陽熱発電、洋上風力、マングローブ造成)から、炭鉱メタンや油田随伴ガス回収へと対象が広がっている。いずれの追加も同じパターンをたどっている。エネルギー官僚機構と環境省が共同で推進し、その後にプロジェクトが列をなす。
クレジットが参入する市場の姿
需要側の仕組みは整っている。現在80億トン超のCO2換算量、国内温室効果ガス排出量の60%超を規制する全国排出量取引制度の対象事業者は、CCERを使ってコンプライアンス義務の一定割合を相殺できる。このコンプライアンス上の裏付けこそ、CCERが純粋な自主的クレジットと異なる点だ。構造的な買い手層が存在する。
一方、供給はまだ乏しい。張氏の数字によれば、2026年6月末時点でCCER登録機関の口座数は約8,200、登録プロジェクトは40件で、クレジット期間全体で約1億4,700万トンのCO2換算量を生み出す見込みだ。実際に登録されたCCERは約2,150万トンにとどまり、その大半は洋上風力と集光型太陽熱発電由来だ。2025年3月7日に新CCERの初回分が上場された際には、初日に約74万8,800トンが平均80.45元で取引され、その後の日次平均価格は最高107.36元に達した。コンプライアンス市場の排出枠は2026年7月13日に1トン87.42元で引けており、オフセットは飾りではなく経済的に意味を持ち続けている。
バイヤー、デベロッパー、投資家への意味
バイヤーにとって、グリーン燃料の方法論群は、産業脱炭素のストーリーを伴う中国産クレジットの新カテゴリーの登場を意味し、現在の供給の中心である再生可能エネルギー系CCERよりプレミアムな価格が付く可能性がある。実務上の留意点は時間だ。方法論は提案、評価、公表を経なければならず、その後も最初のプロジェクトには登録と検証のサイクルが必要になる。
デベロッパーへのメッセージは、早期の布石だ。水素方法論が示したように、優先分野とされればNEAとMEEは共同で迅速に動ける。今のうちにCCER要件に沿ったモニタリング体制を構築するグリーン燃料プロジェクトが、方法論の施行時に登録行列の先頭に立つ。
投資家にとって、政策の方向性は収益スタックのリスクを低減する。中国のグリーン燃料の経済性はこれまで、義務化、補助金、輸出需要に依存してきた。現在の価格水準では控えめでも、国内の炭素収益ラインが加わればバンカビリティは改善し、プロジェクトファイナンスは自主的市場のセンチメントではなくコンプライアンス市場に連動するようになる。
注目すべきポイント
検証すべき節目は3つある。第一に、グリーン燃料方法論の正式な公表とその適用条件、すなわち対象燃料、原料、ベースラインルール。第二に、約590件の提案評価が完了している状況で、2026年に見込まれる10件超の方法論が予定通り出るかどうか。第三に、新しい供給カテゴリーが登録された後のCCER価格の動きだ。価格が排出枠水準の近くにとどまればインセンティブは機能し、下方に切り離されればグリーン燃料へのシグナルは弱まる。
中国はまず世界最大のコンプライアンス炭素市場を築き、今その下層にオフセットの層を埋めつつある。次はグリーン燃料の番であり、方法論パイプラインは列が前に進んでいることを示している。