欧州委員会は、EUの炭素国境調整メカニズム(CBAM)の実施を完了させる最終規則を、年内の最後の2か月間に公表する見通しだと、Carbon Pulseは報じています。川下製品へのCBAM拡大に関する追加規則は、2027年に続く見込みです。輸入業者、CBAM対象品を購入するEUの買い手、排出枠の需要を追う投資家にとって、この順序は重要です。同メカニズムはすでに本格適用の段階に入っている一方で、主要な技術的詳細はまだ確定していないためです。
何がいつ公表されるのか
報道は2つの段階を伝えています。1つ目は、CBAMの実施を完了させる最終規則で、年内の最後の2か月間に予定されています。2つ目は、川下製品への拡大に関する追加規則で、2027年に予定されています。
当方が入手できた情報源の文章は短く、どの法令が公表されるのかは記載されていません。正確な公表日も示されていません。読者は、このタイミングを特定の日付ではなく、一定の期間として捉えるべきです。
出発点:すでに稼働している適用段階
ICAPによると、CBAMは2026年1月1日に本格適用の段階に入り、2023年から2025年までの移行期間が終了しました。CBAM対象品を年間50トン以上輸入する輸入業者は、内包排出量を申告し、翌年9月に対応するCBAM証書を償却する必要があります。最初の申告・償却期限は2027年9月30日で、2026年中の輸入に内包された排出量が対象です。
2025年12月16日、欧州委員会は移行期間に関するレビュー報告書を、8つの実施法令および2つの立法提案とともに公表しました。これらの法令が扱う主なテーマは次のとおりです。
- 内包排出量の算定方法
- デフォルト値
- CBAM証書の価格
- 申告された排出量の検証原則
- CBAM申告者の認可
- CBAM登録簿
価格とベンチマークはなお動いている
いくつかのパラメータは、最終規則の公表が見込まれる時期に近い日付と結び付いています。2026年のCBAM証書価格は、EU排出枠のオークション価格の四半期平均に基づきます。2027年からは、オークション価格の週平均に移行します。CBAM証書の販売は2027年2月1日に始まります。
CBAMのベンチマークは、現行のEU ETSの無償割当ベンチマークを反映しています。ICAPによると、これらは2026年から2030年の最終的なETSベンチマークに合わせるため、2027年1月1日まで見直しおよび更新されます。また、2026年のベンチマークは、欧州委員会の当初提案よりも低く、より厳格になっているとしています。
ICAPは、今後の課題の一つとして、第三国で実際に支払われた炭素価格を控除するための方法論も挙げています。自国で炭素価格に直面している輸出業者にとって、この方法論は、そのコストのどれだけが認められるかを左右します。
川下製品への拡大はなお交渉中
2027年の規則は、まだ決着していない立法案件に左右されます。Mayer Brownによると、2025年12月17日、欧州委員会はCBAMを川下製品に拡大し、迂回防止措置を強化するための改正案を提案しました。拡大の対象は約180の川下製品類型で、ねじ、ボルト、ワイヤー、管、金属製家具など、主に鉄鋼やアルミニウムを多く使用する製品です。
理事会は2026年6月12日に一般的アプローチで合意し、欧州議会は2026年9月15日の本会議で交渉権限を採択しました。三者協議は技術レベルで進められており、最初の政治レベルの三者協議は2026年10月20日に予定されていました。入手した資料はこの会合の結果を伝えておらず、拡大の最終的な範囲と時期は未確定のままです。
輸入業者と投資家への影響
輸入業者にとっての主な課題は、まだ仕上げの途中にある規則に合わせて、申告とデータ収集を整えておくことです。デフォルト値、検証原則、登録簿は既存のパッケージの一部ですが、最終規則によって、実務での適用方法が詳細化される可能性があります。
製品が川下の対象リストに含まれる可能性のある企業にとっては、2027年の規則が注視すべきものです。約180の製品類型への拡大は、国境で炭素コストが課される製品の範囲を広げることになりますが、それは立法プロセスで確定した場合に限られます。
投資家にとっては、無償割当がもう一つの要素です。ICAPによると、2026年と2027年は、CBAMの対象セクターで適格な生産者に対するEU排出枠の無償割当が、CBAMの発効に伴い毎年2.5%減少します。この資料は、これが排出枠の需要にとって何を意味するのかを定量化していません。
注目点
- 年内の最後の2か月間における最終実施規則の公表。
- 川下製品への拡大と迂回防止措置に関する三者協議の結果。
- 2027年1月1日に先立つCBAMベンチマークの更新。
- 2027年2月1日のCBAM証書の販売開始。
- 2027年9月30日の最初の申告・償却期限。
方向性は定まっていますが、細部はまだ書かれている最中です。今後の規則を新たな出発点としてではなく、2026年のデータに対する最終確認として捉える企業のほうが、2027年の最初の償却に向けて良い位置に立てるでしょう。
