中国は、全国排出量取引制度(ETS)の2025年・2026年分を規定する排出枠配分計画を承認した。対象排出量で世界最大のカーボン市場のコンプライアンス計算がこれで確定する。同計画は、発電部門について両年度の排出枠総量とベンチマークルールを定め、2025年3月に制度へ追加された鉄鋼、セメント、アルミ精錬の3部門については初めて通年の配分枠組みを設けるものだ。中国炭素市場にエクスポージャーを持つコンプライアンス担当者、トレーダー、投資家にとって、今回の承認は1か月にわたる草案段階の仮定を拘束力のあるパラメータへと変える。
草案から拘束力あるルールへ、1か月足らず
タイムラインは圧縮されていた。生態環境部(MEE)は2026年7月27日、通知「环办便函〔2026〕243号」に基づき計画草案のパブリックコメントを開始し、書面意見の締切は8月5日、わずか9日間の窗口だった。承認はその窗口の閉鎖から約3週間後に下りた。この迅速な展開は、草案のベンチマーク値と補正係数が意見募集をほぼ原形のまま通過したことを示唆している。
同計画は、2024年5月1日施行の「炭素排出権取引管理暫定条例」(国務院令第775号)の下で運用され、配分ルールはこの条例を通じて排出枠の償還義務に直接的な法的効力を持つ。コンプライアンスは省級の生態環境局がこれらのルールに基づいて管理するため、承認された本文こそが今後2つのコンプライアンスサイクルで重要な文書となる。
計画が実際に定めるもの
計画の構成は、2021年に発電部門向けに制度が始動して以来MEEが築いてきた年次サイクルに沿う。3つの要素が承認された枠組みを規定する。
第一に、発電部門は2025年と2026年の両方について固定的な配分ルールを得る。2025コンプライアンス年度から始まった、グランドファザリングから強度ベースのベンチマーク方式への移行を継続する内容だ。2024・2025電力コンプライアンス年度を対象とする前回の配分計画は2025年11月16日に公表されており、新計画はその軌道を逆転させるのではなく延長する。
第二に、鉄鋼、セメント、アルミ精錬は2026年を対象とする初の通年ベンチマーク方法論を得る。これら3部門は2025年3月26日に全国ETSへ追加され、その拡大は約1,500社と約30億トンのCO2を制度に加え、カバー率を全国排出量の約40%から約60%へ引き上げた。これまでは移行的な措置の下で運用されてきたが、承認された計画によって各社の排出枠ポジションが初めて計算可能になる。
第三に、ベンチマークを取り巻くアーキテクチャは保守的なままだ。排出枠は無償配分が維持され、オークションの要素はない。中国核証排出削減量(CCER)クレジットによるオフセットは検証済み排出量の5%上限のままで、各設備のコンプライアンスポジションを左右する主なレバーはベンチマーク値に残る。アルミ精錬については、一次アルミでCO2と併せて規制される非CO2ガスCF4とC2F6を排出枠単位へ換算する方法も計画で確定する。
キャップよりベンチマークが重要な理由
中国のETSはEU ETSのようには機能しない。固定された逓減キャップは存在せず、配分は強度ベース、つまり各設備は生産量にベンチマーク排出強度を掛けた量の排出枠を受け取る。実務上の帰結として、あるプラントが年末に超過となるか不足となるかを決めるのは、表題のキャップ数字ではなく、承認された計画のベンチマーク値だ。
この設計は市場参加者に両方向に作用する。産出量の変動からコンプライアンスコストを切り離すため、依然として工業化途上の経済に北京が好む理由はそこにある。しかし同時に、ベンチマークの引き締めが部門の実際の強度改善を上回る速度で進まない限り、希少性は生まれない。2025-26年計画は、MEEが新規産業部門に対してベンチマークレバーを積極的に使う意思があるのか、それともコンプライアンス機構の定着期間中は現行パフォーマンス近辺に据え置くのかを試す最初の本格的なテストとなる。
バイヤー、デベロッパー、投資家への意味
対象事業者にとって、承認はポジション算定の開始を意味する。発電事業者(華能、大唐、華電、国家電投、国家能源などの大手グループ)や鉄鋼、セメント、アルミ精錬各社は、検証済みの2025年排出量に対して最終ベンチマークを当てはめられるようになった。不足分は上海の取引所でのCEA購入か、5%上限内のCCERオフセットで埋める必要があり、取引デスクは草案シナリオではなく固定ルールに基づいて2026年のエクスポージャーに価格を付けられる。
CCERデベロッパーにとっては、据え置かれた5%のオフセット上限が重要な数字だ。適格クレジットの需要はその上限に制約されるが、対象となる母集団は電力専業時代よりはるかに大きく、新規CCER供給の論拠を支える。ただし需給の算数が一晩で変わるわけではない。
国外から注視する国際投資家やトレーダーにとって、今回の承認は規制のテンポを読む材料だ。9日間の意見募集と3週間の承認は、外部参加を想定して設計された市場ではなく、行政スケジュールで運営されるコンプライアンスシステムである。次の構造的な問いは、2025年8月の国務院指導意見が示した2027年に向けたさらなる部門拡大であり、この配分ロジックが追加産業へ拡張されるかどうかだ。
今後注視すべき点
承認からは3つのチェックポイントが生まれる。第一に、公表されるベンチマーク値そのもの。現行の部門平均強度をどれだけ下回るかが、2026コンプライアンス年度の実際の厳格さを示す。第二に、対象事業者がポジションを算定する過程での上海取引所の売買動向。新規対象部門の不足設備から買いが殺到すれば、この規模でのCEA流動性に対する最初のストレステストとなる。第三に、2027年拡大に関するMEEのシグナル。今週承認された2年の配分サイクルが次の部門群のテンプレートになるかどうかが確認できる。